パッケージデザイン

「パッケージデザインとは」から始めます。
元々パッケージは物を包む所から始まっています。では、何故物を包むか?と言えば、目的は3つあります。一つは運搬効率の向上。包むことで一度に沢山持てるようになったのと、もう一つは内容物の保護。包むことで中身を守ることが出来るようになったこと。そして商品情報の表示です。中に何が入っていて、どの様な商品か理解出来る様になった3点が上げられます。しかし、パッケージをデザインすると、綺麗に包む商品価値の向上のみに囚われ、本来の目的を見失うことがあります。見た目が綺麗でも中身が販売時に壊れてしまうような箱や袋、形が奇抜で運搬用の段ボールに収まりきらないような形状ではパッケージの目的を達していない事を理解する必要があります。

【プロジェクト】
デザインの仕事は売れる物(売れる仕組みを)を作るゲームだと思っています。今回はパッケージのターゲットについての話です。
ここ5年ほど同じ企画のパッケージを作っています。それはメンズタイツです。あまり需要がなさそうですがスキーやスノボのウインタースポーツ。釣りや、アウトドアライフ、野外作業。バイク、自転車などにとても重宝するのであることは想像が付きますか?私たちがスキーを始めた?年ほど前は男性用のタイツはスポーティーなものなど無く女性用のパンストをはいて寒さをしのいだものでした・・・。(昔話禁止)スポーツ用品店に置く製品ではなく量販店やスーパーマーケットなどにつるされるものです。毎年繊維を工夫したり暖かさを向上させたり売れるために大変な商品開発をしていることが分かります。
そのパッケージのデザインですが、暖かさを強調と言うと暖色系オレンジから赤の物になってしまいます。毎年作っているとメーカーや、バイヤーさんからもっと新しい物を作ってほしい。イメージを一新してほしいと言われます。ここに落とし穴があります。売る側は見慣れていますが、この様な商品は頻繁に購買意欲が湧くものではありませんし、毎年買い換える人も少ないことが分かります。つまり買う側は始めて見るものなのです。始めて見るものならば現行商品と比べたりするより常に商品イメージを正確に伝える努力が必要です。
そこでターゲットを絞り込みます。みなさんは「男性用タイツ」のターゲットを絞り込めと言われたらどのように考えるでしょうか?20〜30代の男性・・・多分そのように考えるでしょうが、それではマーケッティングは失敗です。はたして、20〜30代の男性がスーパーマーケットに直接行ってタイツを購入する確率はそれくらいでしょう。私たちはまず、自分だったらどのような行動を起こすか考えます。次に、売り場に立ってみます。そして自分だったら何を買うかよく考え今買い物をしている人が何を買っているか良く観察します。すると自然に答えが出ます。スーパーマーケットに置くこの商品はお母さんや奥さんが買っていることが分かるでしょう。「男性用タイツ」なのですが、実はターゲットは直接購入する女性なのです。そこで男性的、スポーティなどのイメージで格好良さを追求すればお母さんや奥さんには少し手に取るのをためらってしまう結果になります。パッケージデザインだけではありませんが、ターゲットの二重性というハードルがありますので一つの思いつきでターゲットを設定して失敗しないよう十分に注意する必要があります。