広告資料館 2012年12月「伊勢丹」


今年、12月の折り込みは年末商戦とクリスマスの広告が目立ちました。昨年は震災の影響もあり、あまり派手な広告がなかったのは本サイト「2011年の広告」などから過去の12月の折り込みを比べて見ていただけるとはっきり分かるかと思います。
今月の「伊勢丹」の折り込みは縦に二分割し、安定性の高いレイアウトです。誌面のレイアウトで時々見ることが出来ますが、人物二人の対談などでよく使われる構図です。二つの違いが際立ちながら、何となく安定しているのは左右に対称性があるためです。シンメトリーと呼びますが、数学的な完全一致する図形ではなく、デザイン的には大きな枠が同じであればシンメトリーと呼ぶ場合が多くあります。この場合左右の面積が二等分されているので、左右に対称性を強く感じます。年末と年始のイベントを左右に分け「大蔵の市」とタイトルが二つのイメージを繋いでいます。下の三行のコピーと左右の一行のコピーがシンメトリーを強く意識し手いることが如実に分かり、重厚なトーンで「和」のテイストを十分に感じる良い仕上がりです。
タイトルロゴと「ISETAN」のロゴ位置も縦書きを意識した視線誘導が見事ですが、シンメトリーを意識するのであればセンターに置いた方がより効果が高かったろうと思います。しかし、広告で使うロゴやマークは使用規則があり、デザインだけではどの様にもしがたい事もあります。「ロゴ使用規則」「ロゴ使用規定」で検索していただくと各企業がロゴの扱いに苦労している事が分かります。CIデザインではこの様な使われる状態まで考えて設計しますので、それを受けて制約の中で効果的な広告を作る事がデザインのルールの一つです。



広告資料館 2012年12月「コメ兵」

こちらは、見事にクリスマスしています。一昔前でしたら「パルコ」あたりで作りそうな広告ですが、残念ながら現状では「コメ兵」の制作です。関東では最近メジャーになりかけていますが、名古屋ではかなり有名で「いらんモンはコメ兵へ」のコピーで買い取りと販売のリサイクル店、元は質屋さんです。そのリサイクルショップの広告は、サンタに扮した女性達の後ろ姿がメインビジュアルの「XmasSALE」です。熱気が伝わる写真が見事で、ビジュアルの力が広告には重要な要素であることを思い出させてくれるようなよい出来です。しかし、タイトルの置き場所やバクダンの位置、全体のレイアウトが写真に助けられて何とか成立しているように感じます。
我先にセールに群がる様に見えるこのサンタさん達から、プレゼントをもらう事は無さそうに感じてしまうのは私だけでしょうか・・・。