広告資料館 2012年4月「JR東日本 ジュクサー・フィットネスクラブ」

大胆な構図が目を引くバランスの良く取れた、とても優れた折り込み広告です。構図は全体的に立体感を意識して、ヨガのポーズを取った女性を俯瞰に見て、影とカウンタースペース(余白部分)の程良い緊張感が紙面を締めています。足元には川のように赤いリズムが画面対角線上に流れています。この赤い部分のイメージの下敷きになっているのは、江戸期の名匠尾形光琳作「紅白梅図屏風」静岡のMOA美術館所蔵の国宝でしょうか?デザイン初心者がマネして出来る様なデザインでは無く、よく見るとJRのロゴがありますので、経営資本は大きく、予算をかけた広告であることが分かります。
今月の折り込みを見て、これからデザインを始めようとしている若いデザイナーのタマゴや、デザイン初心者にとって勉強になる部分は、デザインとして新しさを追求するだけではなく、歴史から過去の名作を引き出しに持つ事でしょう。過去の優れた作品をよく知ることがデザインの厚みを増します。国宝であれば踏みつける行為はいかがな物かとも思いますが、ここは先ずその部分は置いておいて、これを制作したデザイナーは、フィットネス&スパに新規参入するための先行広告に、日本的な静と動を合わせ持った過去の名作を下敷きにして、伝統的な美のイメージの上にさらに新しさの表現に見事成功しています。