広告資料館 2012年6月「草花木果」

今月の広告は強烈な赤が目を引くビビッドな通販化粧品「草花木果」の折り込みです。
本欄ではレイアウトによる視線誘導と消費行動の関係を重視した解説をしていますが、広告のデザインには多用な要素があり、色彩もその重要な要素のひとつです。デザインの勉強を始める際には色彩の扱い方を繰り返し勉強するもので、音楽で言うところの絶対音感ならぬ「絶対色感」の様な物をたたきこまれます。今月の折り込みは苺の赤に対してヘタ部分の緑は「補色」関係に当たり、色彩的に一番強い組み合わせを見事にコントロールした逸品です。
色の分配について触れると、必ずしも色相でぶつける必要はありませんが、広告全体をイメージする「支配色」と、中心部分を表示する「主張色」によっての色彩計画が必要です。経験不足のデザイナーが全体をまとめるためにトーンを揃えすぎて「主張色」が抜け落ちてしまい、「上手くまとまっているけれど何処か伝わらない」仕上がりになる事がままあります。また、「社長が青が嫌いなので使わないでくれ」(実話)など訳の分からない制約を受けることも珍しくありませんが、人の心に強く伝わる広告は色彩の計画が重要だと分からせてくれる良い例ではないでしょうか。
広告と色彩については、別のページで解説いたします。