広告資料館 2012年7月「HIKARIE」

今月は渋谷の東急文化会館跡地に渋谷駅周辺再開発のかけ声高く今年4月にオープンしたばかりの商業施設「渋谷ヒカリエ」です。オープン前から評判も高い折り込み広告です。しかし、その宣伝告知方法やWebサイトに比べとてもおとなしい感じがします。先月のチョイスと比較して見ると面白いのですが、この広告は全体にペールトーンと呼ばれる明るいパステルカラーの色彩でまとまり、色調の強さや明度の差がありません。7月という季節感や、新しくできた斬新さも無く、きつい言い方ではありますが、制作意図が不明な広告です。
ただ、一つ広告制作のカギとしてのお手本は、定期的に継続して発行される刊行物は年間を通した縦軸のイメージ統一も重要だと言うことでしょう。今月の折り込みを見ると何年も前から普通に見たことがあるような、刷り込みにも似た安定感を感じます。毎回新しい試みやデザイン的冒険も大切ですが、毎回同じ読み手を想定した場合には安定したフォーマットを作り出すことも同じくらい重要なデザインファクターなのです。まだ、ずっと先のことでしょうが、この折り込み広告がリニューアルされた際に、どのような方向性で変わるのかを知ることは、マーケッティングと広告戦略の修正が分かる良い手本となることは確実です。