広告資料館 2012年10月「たかの友梨ビューティークリニック」


今月の折り込み広告は質量共に豊富な内容で、優れた広告や、効果的な広告が目立ちましたが、その中で「たかの友梨ビューティークリニック」の折り込みは文字の揃えを上手く使い分けた広告です。
文字の揃えの基本は1)右揃え、2)左揃え、3)センター揃えの3種に、ジャスティファイと呼ばれる4)均等(両端)揃えを加えて、4種の基本構造で、デザインのバリエーションを豊にします。それぞれの文字の組み方には意味や法則がありますので、それをこの広告を借りて解説させていただきます。

1)は通常の文章表現によく使われます。しかし、右端は文意で改行されるためにバラバラです。2)は条件は同じですが、デザイン的な処理で使われる以外あまり見かけることは無いでしょう。通常は4)の均等(両端)揃えをよく使います。文章がボックスになり視覚的に綺麗でレイアウトもしやすくなります。ただ、文章表現を大切にする向きには単語が途中で改行されるのを好まない傾向があります。これの上にタイトルを置いてみます。
1〜3は見出の位置が各文章の揃えに限定されますが、唯一均等(両端)揃えの文字揃えは見出を自由な場所に置くことが出来るのです。また、3)の中央揃えは叙情的な表現で使うシーンが多いのですが、自然に視線を下の位置に誘導しますので、最下部に一番強調したい情報を置くことで効果を簡単に得やすいレイアウトです。しかし、1ページにいくつも中央揃えの文字揃えがあるのはゴールへの混乱を招きますので、使い方には注意が必要です。
今月の折り込み広告もアイキャッチの女性の横顔ビジュアルから中心の「半額モニター募集」へ上手く誘導しています。一見センター揃えに見えますが、上部の文章の文字間をトラッキングで調節し、3行が両端揃えになるようにしています。文字を上手くラインとして使い、「半額モニター募集」を引き締めています。その下のフリーダイヤルまでは中央揃えにしてここがゴールで有ることがよく分かります。センター揃えの下部分はゴールの後ですから、扱いが難しく、普通に置くと注目されづらい位置になりますが、斜めに置かれた鍵に添って7ブロックの文字情報がリズム良く流れ、レイアウトも綺麗です。全体のトーンのブラウン系の色味と人の肌の色と文字色の処理も上質です。この様に文字の揃えと文字をラインとして上手く使う広告の例として参考にしたい上質な一品です。