広告資料館 2013年11月

2013年1月 早稲田アカデミー 「冬期講習会」

今月の折り込みは年末商戦、クリスマス、おせちと質量共に先月に比べてとても多く、バラエティに富んだ広告がありました。その中でチョイスしたのは、予備校の冬期講習会です。これからこのカテゴリーの折り込みが増える季節ですので今年の展開が楽しみでもあります。
今回の折り込み広告デザインのポイントは「立体構造」です。Dezapla.comでいつも触れている視線誘導理論の上級編と捉えても良いでしょう。デザイン・レイアウトテクニックは「上から下」「左から右」へ視線誘導に伴い、ゴール部分に広告の重要な訴求点を設置することですが、紙面には奥行き感による手前、奥の構造として視線を誘導するテクニックも存在します。

みなさんは書店の女性雑誌のコーナーを見て気づいた事が有りますか?まず、何と読むのか理解出来ない誌名は別に、タイトルとモデルさんの関係です。例として、女性誌の表紙イメージと検索した画像が左のものです。タイトルがモデルの前に有る物と後ろに有る物に2分されていることが分かります。タイトルの前にモデルさんを重ねることで手前と奥の関係が生まれ、紙面下部のキャッチコピーへ自然と誘導されることが分かります。今回の折り込みも①タイトル「冬期講習会」②モデル→炎③キャッチコピーの3点が上手く重なりどんどん手前に視線が押し出され、炎の曲線が「熱くなれ!本気の冬」へ繋ぎ見事にゴールへ誘導しています。
立体のイメージに置き換えると下記の図の様になることが分かりますか?この様に紙面を立体的に使い、訴求ポイントへ誘導する上質な広告も存在します。



今月の余談
この立体構造の表現方法は、不確かではありますが、1970年代に小学館から発行された「GORO」の表紙で始めて見た記憶があります。「GORO」の表紙は私が尊敬するデザイナーの一人、長友啓典さんの手によるもので、その後この手法がいくつかの雑誌で見られる様になりました。最近はあまりにタイトルを無視した表現に、揺り戻しが始まっている状態です。